松毛川生態系ガイド
グラウンドワーク三島
ホーム > エリアガイド > 松毛川の解説
松毛川の解説
 
     
 松毛川をその南端に有する中郷地域は、三島市の南部に広がる水田地帯です。

 三島市立公園「楽寿園」内の小浜池から噴出する富士山からの湧水を水源とする源兵衛川は、古くから中郷地域の水田の灌漑用水路として使われてきました。しかし、昭和30年代中ごろから、両流域での企業の地下水の汲み上げや、人口増による水道使用の増加などの原因により豊富だった水量は激減し、川の汚染もひどくなりました。

 また同時期、めざましい日本経済発展の影響を受けて、豊かな水田地帯であった中郷地域にも、大きな変化が生じました。昭和43年(1968)、中郷地域のほぼ中央を南北に走る形で、開通した国道136号線(下田バイパス)沿いを中心に、まず商業地化が始まり、続いて多くの美田を潰して宅地化が進みました。

 そして昭和42年(1967)には、長伏に三島市街地にある中小企業の工場を集める目的で、三島工業団地が建設されました。

 こうして、奈良時代の条里制の跡が残る古くからの歴史を持つ中郷地域の水田の多くが徐々に失われていきました。

 しかし、松毛川の河畔林や神明宮の森がある長伏・御園には、豊かな水田地帯であった原風景が残されています。ここは、中郷地域にはりめぐらされた灌漑用水路の一番下流に位置し、狩野川の洪水には何度も脅かされ、先人たちが大変な苦労をして水田を守り続けた所でもあるのです。

 私たちは、こうした観点に立って「都市と農村を結ぶ川として再生した源兵衛川」同様、過去から現在、そして未来へつなげるために、松毛川を守り育てていく活動を続けたいと考えます。
このページのTOPへ